結論:年俸制でも残業代は出る。「込み」かどうかを必ず確認
「年俸制の会社って、残業代が出ないんでしょ?」——これは大きな誤解です。
結論から言えば、年俸制でも残業代は支払われるのが原則です。年俸制は「1年単位で給与額を決める仕組み」であって、「残業代を払わなくていい制度」ではありません。
ただし、年俸の中にあらかじめ一定時間分の残業代が含まれている(固定残業代込み)ケースはあります。だから大事なのは、「その年俸に残業代が含まれているのか、別途支払われるのか」を確認すること。この記事で、年俸制の仕組みと注意点を整理します。
年俸制とは何か(月給制との違い)
年俸制とは、1年間の給与総額をあらかじめ決め、それを分割して毎月支払う仕組みです。
月給制が「月単位で給与を決める」のに対し、年俸制は「年単位で決めて12分割または16分割(賞与込み)で支払う」のが一般的。プロスポーツ選手の契約をイメージするとわかりやすいでしょう。
外資系企業や管理職、専門職、ベンチャーなどで採用されることが多い制度です。成果に応じて翌年の年俸が見直されるため、実力が評価に直結しやすいのが特徴です。
年俸制のメリット
年俸制には、次のようなメリットがあります。
- 年収が先に確定する:1年間の収入が読めるため、生活設計が立てやすい。
- 成果が評価されやすい:実績を出せば翌年の年俸が上がりやすい。
- 業績に左右されにくい:ボーナスのように業績で大きく変動しにくい(契約で確定しているため)。
特に「収入が安定して読める」点は、住宅ローンや将来設計の面で安心材料になります。ボーナスの変動が大きい働き方と比べると、計画が立てやすいのは魅力です。

年俸制のデメリット
一方で、デメリットもあります。
- 成果が出ないと翌年下がることも:年俸は毎年見直されるため、評価次第で減額もあり得る。
- 残業代が「込み」だと働き損になりやすい:固定残業代込みの年俸だと、長時間働いても増えない。
- 中途半端な理解だとボーナス感がない:年俸を16分割して「夏冬に多め」にする形が多く、別途賞与がない場合もある。
つまり年俸制は、成果を出せる人には有利、出せない人や長時間労働になりがちな人には不利になりやすい制度です。
「年俸制だから残業代なし」は誤解
ここが最も誤解されるポイントです。年俸制であっても、残業代の支払い義務はなくなりません。
法定労働時間を超えて働けば、年俸制でも割増賃金(残業代)が発生します。「年俸制だから残業代は出ない」という説明は、原則として誤りです。
例外的に、年俸の中に固定残業代が含まれている場合は、その時間分までは追加が出ません。ただしその場合も、固定時間を超えた分は別途支払う必要があります。この仕組みはみなし残業と同じなので、「みなし残業」は損なのか?固定残業代の落とし穴を解説も合わせて確認しておきましょう。

求人票・契約で確認すべきポイント
年俸制の求人や契約を見るときは、次の4点を必ず確認してください。
- 残業代は年俸に含まれるか、別途支給か:「固定残業代◯時間分を含む」と書かれていないか。
- 含まれる場合、何時間分か:時間数が多いと長時間労働が前提の可能性。
- 賞与(ボーナス)の扱い:年俸を何分割するか。別途賞与があるか。
- 年俸の見直しルール:どんな評価で、いつ改定されるか。
これらを確認すれば、見かけの年俸の数字に惑わされずに済みます。手取りベースでの実額は手取り30万円の額面はいくら?年収別の手取り早見表で確認できます。
まとめ:仕組みを知れば、年俸制は怖くない
年俸制は、1年単位で給与を決める仕組みで、残業代が出ないわけではありません。「年俸制=残業代なし」は誤解で、固定残業代込みでない限り、残業代は別途支払われます。
メリットは収入が先に確定し、成果が評価されやすいこと。デメリットは評価次第で下がることや、固定残業代込みだと働き損になりやすいこと。
判断のポイントは、「残業代が込みか別か」「賞与はどうなるか」を契約で確認すること。仕組みさえ理解すれば、年俸制は決して怖い制度ではありません。
よくある質問(FAQ)
Q1. 年俸制だと残業代は出ないのですか?
いいえ。年俸制でも法定労働時間を超えた分の残業代は支払われるのが原則です。「年俸制だから残業代なし」という説明は誤りです。
Q2. 年俸制と月給制の違いは何ですか?
月給制は月単位で給与を決めるのに対し、年俸制は1年間の総額を先に決め、分割して支払う仕組みです。外資系や管理職、専門職で多く採用されます。
Q3. 年俸制のメリットは何ですか?
1年間の収入が先に確定するため生活設計が立てやすく、成果が翌年の年俸に反映されやすい点です。業績による大きな変動も受けにくくなります。
Q4. 年俸制のデメリットは?
成果が出ないと翌年下がることがあり、固定残業代込みの年俸だと長時間働いても増えにくい点です。別途賞与がない場合もあります。
Q5. 求人票で何を確認すべきですか?
残業代が年俸に含まれるか別途か、含まれる場合は何時間分か、賞与の扱い、年俸の見直しルールの4点です。これで数字に惑わされなくなります。