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女性のキャリアプラン、結婚・出産でどう変わる?年代別の考え方

女性のキャリアプラン、結婚・出産でどう変わる?年代別の考え方

キャリアプランは「一本道」で考えると苦しくなる

「結婚したらどうなる」「出産したら続けられる?」。20代後半から30代の女性に話を聞くと、仕事の悩みよりも、この先の見えなさに気持ちがふさいでいる人が多いと感じます。やりたいことはある。けれど、結婚や出産がいつ来るか分からないから、計画の立てようがない。

ここで多くの人がはまるのが、キャリアを一本のレールとして描こうとすることです。「30歳までに昇進、35歳で出産、復帰して時短、40歳で…」と理想の年表をつくると、現実が少しずれただけで「もう取り返せない」と感じてしまう。

実際のキャリアは、もっと組み替えのきくものです。出産で半年止まっても、その後に取り戻している人はいくらでもいます。大事なのは完璧な年表ではなく、「いまの自分は何を増やしている時期か」を年代ごとにつかんでおくこと。結婚や出産でガラリと変わるように見えて、年代ごとに意識すべき軸は意外とはっきりしています。

まず数字で現在地を知る:女性の働き方はこの10年で変わった

不安の半分は、古いイメージのまま将来を想像していることから来ています。

かつては「出産=退職」が当たり前でした。けれど内閣府や厚生労働省の資料によると、第1子出産前に働いていた女性のうち、出産後も就業を継続した人の割合は、1980年代後半は3割弱でした。それが2015〜2019年に出産した世代では、出産前有職者を100としたとき約69.5%まで上がっています。正規職員に限れば継続率は約69%。「辞めるのが普通」だった時代は、もう過去のものです。

ただ、もうひとつの現実も知っておきたい。年齢別に女性の正規雇用比率を並べると、25〜29歳の約60%をピークに、その後ゆるやかに下がっていく形になります。アルファベットの「L」に見えることから、L字カーブと呼ばれる現象です。出産や育児を機に非正規へ移ったり、いったん離れたりした後、正社員に戻りにくい構造がまだ残っている、ということ。

つまり、働き続けやすくはなった。けれど「正社員としてのキャリアを太いまま保つ」のは、まだ意識して動かないと流されやすい。この前提を踏まえると、年代別にやるべきことが見えてきます。

20代は選択肢を増やし30代は両立、40代は経験を束ね直す時期というキャリアの重心移動を示した図

20代:選択肢を広げる「貯金」をつくる時期

ライフイベントがまだ先に見える20代は、いちばん自由に動ける時期です。ここで何を貯めておくかが、後の選択肢の幅を決めます。

ためておきたいのはお金だけではありません。むしろ効くのは、職務経歴の中身です。「指示されたことをこなした」ではなく「自分で回した」と言える仕事を、ひとつでも多く持っておく。専門性のとっかかりをつくる。社外でも通用するスキルを意識する。こうした蓄積は、出産でいったん仕事のペースを落としたときに、復帰の足場になります。

20代でやりがちなのが、結婚や出産を見越して早めにペースを落としてしまうことです。気持ちは分かります。でも、まだ起きていないことのために、いま積める経験を手放すのはもったいない。逆に、結婚を理由に「腰かけ」と見られない働き方を続けた人ほど、30代で交渉力を持ちます。この時期に共働き夫婦のキャリア設計、どちらかが我慢しないためにを一度パートナーと話しておくと、後の意思決定がぐっと楽になります。

30代:結婚・出産と昇進が重なる「密度の高い」時期

30代は、女性のキャリアでいちばん荷物が重くなる時期です。結婚、出産、育児、そして仕事では責任が増し、昇進の打診が来ることもある。すべてが同時にやってくる。

ここで知っておきたいのが、制度の後押しが近年かなり強まっていることです。育児・介護休業法は2025年に大きく改正されました。4月からは、残業を免除してもらえる「所定外労働の制限」の対象が、これまでの3歳未満から小学校就学前の子を育てる人まで広がりました。10月からは、3歳以上小学校就学前の子を持つ人に向けて、企業が時差出勤やテレワーク、短時間勤務など複数の選択肢を用意することが義務になっています。「フルタイムに戻すか、辞めるか」の二択ではなくなりつつある、ということです。

それでも30代特有の壁はあります。出産後に上司が気をつかって仕事の難易度を下げ、いつの間にか昇進ルートから外れる、いわゆるマミートラックです。研究でも、出産・育児を機に幹部候補の育成対象から外れてしまうケースが指摘されてきました。ここは「気づいたら戻す」が肝心で、復帰後に物足りなさを感じたら早めに上司へ意思表示する。昇進に前向きなら、その姿勢を言葉にしておく。詳しくは30代女性が管理職を目指すときに知っておきたいことで整理しています。出産のタイミングと転職を重ねて考えたい人は育休明けの転職はあり?タイミングと進め方も参考になります。

40代以降:経験を束ね直して長く働く時期

40代に入ると、子育てが一段落して時間に余裕が戻る人が増えます。同時に、「このままでいいのか」と立ち止まる人も多い。

この時期の強みは、20代30代で積んだ経験を「束ね直せる」ことです。営業も、育児と仕事の両立も、後輩の面倒も、ひと通り経験してきた。バラバラに見える経験を、ひとつの肩書きや役割に編み直せると、年下にはまねできない厚みになります。実際、年齢階級別の就業率は35〜39歳を底に再び上がっていきます。40代は「下がる時期」ではなく「持ち直す時期」です。

注意したいのは、ブランクや時短の期間を引け目に感じすぎないこと。離れていた期間より、これから何ができるかのほうが、はるかに見られています。働く期間そのものが延びている以上、40代はまだ折り返し地点。再就職や転職を考えるなら、これまでの経験を棚卸しして「何の専門家か」を一言で言えるようにしておくと、話が早く進みます。

第1子出産後もおよそ7割の女性が就業を継続することを示した比較図

変わるのは前提、変わらないのは「自分で決める」こと

結婚や出産でキャリアは確かに変わります。使える時間も、優先順位も、体力も変わる。それは避けようのないことです。

ただ、変わるのは前提であって、進む方向まで誰かに決められるわけではありません。20代は選択肢を増やし、30代は制度を使い倒しながら手放さず、40代は経験を編み直す。年代で軸を切り替えていけば、ライフイベントは「キャリアの終わり」ではなく「組み替えのきっかけ」になります。

完璧な年表はいりません。半年先がぼんやりしていても大丈夫。いま自分が何を増やしている時期かさえ分かっていれば、結婚も出産も、計画を壊すものではなく、計画に組み込めるものになります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 結婚や出産を考えると、いまの仕事は続けるべきですか?
基本は続けることをおすすめします。第1子出産後も働き続ける女性は約7割に増え、正社員のまま継続するほうが復帰後の選択肢が広く保てます。辞めるかどうかは、まだ起きていない出来事ではなく、実際に状況が変わったときに判断しても遅くありません。

Q2. 何歳までに出産しないとキャリアに不利、という目安はありますか?
明確な年齢の線引きはありません。年齢で区切るより、「いま何を積み増しているか」で考えるほうが現実的です。早く産んでも遅く産んでも、復帰後に経験を束ね直せるかどうかでその後は変わります。

Q3. 育児で仕事のペースを落とすと、昇進は諦めるしかないですか?
諦める必要はありません。2025年の法改正で、残業免除や柔軟な働き方の選択肢が広がりました。ただ、出産後に自然と昇進ルートから外れるマミートラックは実在します。昇進に前向きなら、復帰時にその意思を上司へ言葉で伝えておくことが大切です。

Q4. ブランクがあると正社員に戻るのは難しいですか?
非正規から正社員に戻りにくいL字カーブは残っていますが、不可能ではありません。離れていた期間より、これから出せる成果のほうが見られます。経験を整理し、「何ができる人か」を明確にして応募すると通りやすくなります。

Q5. パートナーとはキャリアについて何を話しておくべきですか?
育児や家事の分担、どちらがいつペースを落とすか、お互いの仕事で譲れない点を、結婚や妊娠より前に一度すり合わせておくと安心です。片方だけが我慢する形になると、後で関係にも仕事にも無理が出ます。