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ワーママの転職、面接で「子どもの預け先」は聞かれる?

ワーママの転職、面接で「子どもの預け先」は聞かれる?

「預け先、どうしてるの?」と聞かれた瞬間の正解は

面接が和やかに進んで、ひと息ついたタイミング。面接官がふと、「お子さん、まだ小さいですよね。預け先はどうされてるんですか」と聞いてくる。悪気はなさそうだけれど、答え方ひとつで評価が変わる気がして、頭の中が真っ白になる。ワーママの転職活動で、この場面に身構えている人は少なくありません。

先に言ってしまうと、この質問は本来あまり好ましいものではありません。それでも現場では普通に飛んできます。だからこそ、「聞かれること自体に腹を立てる」よりも、「聞かれたときにどう返すか」を準備しておくほうが、ずっと現実的で得をします。法律の建前と、採用担当の本音、その両方を知っておくと、面接の景色はだいぶ変わります。

そもそもこの質問、法律的にどうなのか

厚生労働省は「公正な採用選考」の考え方として、応募者の適性・能力に関係のない事項を把握しないよう企業に求めています。家族構成や生活環境に関することは、まさにその「関係のない事項」です。採用基準にするつもりがなくても、把握してしまえば結果として採否に影響しかねず、就職差別につながるおそれがある、というのが国の立場です(厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。子どもの預け先は、この家庭環境に踏み込む質問にあたります。

さらに男女雇用機会均等法は、募集・採用で性別にかかわらず均等な機会を与えるよう定めています(第5条)。同法の指針では、結婚や出産の予定、子どもが生まれた後も働き続けるかどうかを「女性にだけ」尋ねることを、男女で異なる取り扱いの例として挙げています。つまり、女性応募者にだけ預け先や両立の見通しを質問するのは、グレーどころか踏み込みすぎです。

ただし、線引きはあります。職務をこなすうえで本当に必要な確認、たとえば「残業や休日対応が発生する職種ですが対応可能ですか」「転勤の可能性がありますが大丈夫ですか」といった条件面は、男女同じ基準で聞くなら問題になりません。要は、家庭そのものを詮索するのはアウト、仕事の条件を確認するのはセーフ、という分かれ方です。

家庭環境への質問は好ましくなく、勤務条件の確認は問題ないという線引きを示した図

なぜ企業は本音で「預け先」を知りたがるのか

ルールとしては好ましくない。それでも質問が消えないのには、企業側の事情があります。採用は安くない投資です。せっかく採った人が、子どもの体調不良でたびたび急な欠勤になり、戦力として計算しづらい。そんな過去の経験から、「この人は安定して働ける体制があるのか」を確かめたくなる。その不安が、つい預け先という形で口をついて出てしまうわけです。

裏を返せば、面接官が知りたいのは「子どもを誰が見ているか」そのものではありません。本当の関心は「入社後、安定して仕事を回せる見通しがあるか」の一点です。ここを取り違えると、預け先を細かく説明したのに評価が上がらなかった、という的外れな受け答えになります。質問の言葉ではなく、その奥にある不安に答える。これが分かれ目です。

なお、こうした不安をぶつけてくる会社が、両立に理解のある職場とは限りません。質問の仕方やトーンは、その企業の本音を映す鏡でもあります。露骨に踏み込んでくる、明らかに女性にだけ厳しい、そんな空気を感じたら、こちらが見極める側に回ってかまいません。

不利になる答え方、信頼される答え方

やってしまいがちなのが、不安を不安のまま返してしまうことです。「実家が遠くて頼れないので、正直ちょっと心配で……」と本音をこぼすと、面接官の頭には「やっぱり休みがちかも」という像が残ります。逆に、預け先の家庭事情を延々と説明するのも逆効果。聞かれてもいない情報まで開示すると、かえって両立への不安をにじませてしまいます。

信頼される人は、質問の奥にある「安定して働けるか」に、事実で短く答えます。たとえば「保育園に預けていて、送りは夫が担当しています。急な発熱のときは病児保育とファミリーサポートに登録済みなので、私が必ず休むという形にはなりません」。誰がどう支え、いざというときどう回すか。体制が言葉になっていると、面接官は安心します。

ポイントは、悲壮感を出さないこと。「両立を頑張ります」という気合ではなく、「もう回る仕組みがあります」という淡々とした事実が効きます。育休明けのタイミングで動く人は、ブランクの説明とあわせて準備しておくと安心です。育休明けの転職を成功させるコツも合わせて目を通しておくと、伝え方の引き出しが増えます。

聞かれる前に渡しておきたい「働ける材料」

一番強いのは、聞かれる前にこちらから安心材料を置いておくことです。志望動機や自己PRの流れの中で、「フルタイムで働ける環境を整えています」「直近の半年は残業を含めて計画的に仕事を回してきました」と、さらりと触れておく。先に体制が見えていれば、面接官はわざわざ預け先を聞く必要がなくなります。

職務経歴書や面接では、両立しながら出した成果を具体的に語るのも有効です。時短勤務でも数字を残してきた経験があるなら、それは「制約があっても結果を出せる人」という何よりの証拠になります。両立とキャリアを両立させてきた実績の見せ方は、時短勤務でもキャリアアップする方法が参考になります。働き方の制約を理由に評価を抑えられがちだと感じている人は、マミートラックから抜け出すにはもヒントになります。

それでも踏み込んだ質問をされたら、感情的にならず、事実で短く返す。そのうえで「この会社は両立にどこまで理解があるか」を、こちらも逆質問で確かめる。面接は一方的に評価される場ではなく、お互いを見極める場です。子どもがいることを引け目にせず、結婚や出産を経てもキャリアを描き続ける姿勢は、結婚・出産でキャリアを諦めない働き方の考え方ともつながります。

質問に短く答え、支える仕組みを示し、安定して働ける見通しを伝える3ステップの図

構えすぎず、でも準備して臨む

子どもの預け先を聞かれること自体は、ルール上は好ましくない質問です。けれど、現場では起こります。大事なのは、聞かれた瞬間にうろたえないこと。

面接官の本音は「安定して働けるか」の確認です。だから、誰が支え、いざというときどう回すかを、悲壮感なく事実で示せれば、それだけで信頼は十分に積み上がります。聞かれたら答える、聞かれる前に置いておく。どちらの準備もしておけば、あなたは「不安な応募者」ではなく「計算できる即戦力」として見てもらえます。

質問を恐れる必要はありません。その質問は、あなたが用意した答えで、信頼に変えられます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 面接で子どもの預け先を聞かれたら、答えなくてもいいですか?
答える義務はありません。本来は適性・能力と無関係な質問だからです。ただ、無言で拒むと印象が硬くなります。「安定して働ける体制は整っています」と、家庭事情には深入りせず働ける見通しだけを伝えるのが現実的です。

Q2. 子どもの預け先を聞くのは違法なのですか?
質問それ自体を罰する直接の法律はありません。ただし厚労省は公正な採用選考の観点から「把握しないよう」企業に求めており、女性にだけ両立や出産後の就労を尋ねるのは男女雇用機会均等法の指針に反します。好ましくない質問、という位置づけです。

Q3. 「残業できますか」「転勤は可能ですか」も同じ扱いですか?
これは別です。職務に必要な条件確認で、男女同一の基準で聞くなら問題ありません。家庭そのものを詮索するのはNG、仕事の条件を確認するのはOK、と線引きされています。

Q4. 正直に「実家は頼れない」と言うと不利になりますか?
不安をそのまま伝えると、休みがちという印象につながりやすいです。実家に頼れなくても、病児保育やファミリーサポート、夫の分担など代わりの仕組みがあることを示せば、十分に安心材料になります。

Q5. 露骨に踏み込んでくる会社は避けたほうがいいですか?
質問のトーンは企業の本音を映します。女性にだけ執拗に両立を問う、明らかに育児を負担視している、そんな空気を感じたら、入社後の働きやすさも疑ったほうが無難です。面接は会社を見極める場でもあります。