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妊娠中の転職活動はできる?知っておくべき法律と注意点

妊娠中の転職活動はできる?知っておくべき法律と注意点

妊娠を隠すかどうかで悩む前に、知っておきたいこと

妊娠がわかったタイミングで、今の職場に違和感を感じている。あるいは出産後の働き方を考えて、もっと両立しやすい会社に移りたい。けれど「妊娠中に転職活動なんてしていいの?」「面接で隠したら後で問題になる?」と、踏み出す前に不安が先に立つ。

この悩みは、感情ではなく事実で整理したほうが軽くなります。妊娠中の転職活動そのものは、法律でまったく禁じられていません。一方で、産休と育休では取得できる条件が違い、入社のタイミング次第で受けられる制度が変わる現実もある。知らずに動くと「入ってすぐ産休に入れると思っていたら、育休は対象外だった」という事態にもなりかねません。まずは制度の地図を手に入れることから始めましょう。

妊娠中の転職活動は、法律で禁じられていない

前提として、妊娠している人が仕事を探すこと、応募すること、面接を受けることに、何の制限もありません。企業の側も、妊娠を理由に採用で不利に扱うことは男女雇用機会均等法で禁じられています。つまり「妊娠しているから不採用」という露骨な扱いは、本来あってはならないものです。

ただ、建前と現場の温度差があるのも事実です。採用は「入社後に長く戦力になってほしい」という前提で動くため、近い時期に産休へ入ることがわかると、採用担当が慎重になる場面はあります。これは差別というより、業務の引き継ぎや人員計画という現実的な事情から来るものです。法律はあなたを守りますが、相手の事情を理解しておくと、戦略が立てやすくなります。

妊娠中はリモートや在宅で働ける環境が体への負担も小さく、選択肢として現実的です。働き方そのものを見直したいなら女性の在宅・リモートワークという働き方も視野に入れてみてください。

産前産後休業は誰でも取れ育児休業は条件があることを示した比較図

押さえるべき3つの法律

妊娠期の転職で関わってくる法律は、大きく三つです。ここを混同しないことが、判断を誤らないコツになります。

ひとつ目は、男女雇用機会均等法。妊娠・出産を理由とした解雇や不利益な取り扱い、いわゆるマタニティハラスメントを禁じています。妊娠したことを伝えたとたんに契約を打ち切る、といった対応は違法です。

ふたつ目は、労働基準法による産前産後休業。出産予定日の6週間前(双子以上なら14週間前)から産前休業を、出産の翌日から8週間は産後休業を取得できます。これは勤続年数や雇用形態に関係なく、すべての働く人に認められた権利です。入社して間もなくても、パートでも、産休そのものは取れます。さらに、産前産後の休業期間中とその後30日間は、原則として解雇が禁止されています。

三つ目が、育児・介護休業法による育児休業。子どもが1歳になるまで(事情により最長2歳まで)休める制度です。この育休が、産休とは事情が違う。次の項で詳しく見ていきます。

入社直後の妊娠と、育休の「1年未満」問題

転職組がいちばんつまずきやすいのが、育休の取得条件です。

期間の定めのない雇用(正社員など)であれば、入社1年未満でも育休は原則として取得できます。ところが例外があって、会社が労働者の代表と「入社1年未満の従業員は育休の対象外とする」という労使協定を結んでいる場合、会社は育休の申し出を拒むことができます(育児・介護休業法第6条)。多くの会社がこの労使協定を結んでいるため、転職して間もない時期は育休が取りにくい、という現実が生まれます。

ここで知っておきたいのが、「1年未満かどうか」を判断する時点です。行政の通達では、育休を申し出た時点で勤続1年以上かどうかを見ることになっています。出産日でも育休開始日でもありません。つまり、妊娠がわかった時点では入社1年未満でも、勤続が1年を超えてから申し出れば、その1か月後あたりから育休を取れる可能性が出てきます。産休は誰でも取れるので、産休をはさんでいるうちに勤続1年に到達するケースは、実は少なくありません。

ただし、これは会社が労使協定で除外しているかどうかに左右されます。入社前の段階で「入社1年未満の育休に関する取り扱い」を確認できると安心です。すでに育休からの復帰や次の一歩を考えている人は育休明けの転職はあり?タイミングの考え方もあわせて読んでおくと、長い目で見た計画が立てやすくなります。

伝えるか伝えないか、お金のことも含めて考える

面接で妊娠を伝えるべきか。これは多くの人が迷うところです。

法律上、応募者に妊娠の事実を自分から申告する義務はありません。聞かれても答えたくなければ、その自由もあります。一方で、入社してすぐ産休に入ることが確実なのに一切伝えずにいると、信頼関係の面でこじれることもある。正解はひとつではありませんが、長く働き続けたい会社であれば、選考が進んだ段階で誠実に共有し、復帰の意思とあわせて伝えるほうが、結果的にうまくいく例が多いように感じます。

お金の面も忘れずに。産休中の出産手当金や育休中の育児休業給付金は、雇用保険や健康保険から支払われます。とくに育児休業給付金は、休業を始める前の一定期間、雇用保険に加入して働いていたことが受給の条件です。転職直後だと、この期間を満たせず給付を受けられないことがあります(前職の加入期間が通算される場合もあるため、ハローワークで確認しておくと確実です)。制度が整っているかどうかは会社選びの大事な指標になるので、産休・育休が取りやすい会社の見分け方も参考にしてください。

なお、両立のしやすさは女性側の制度だけでは測れません。パートナーの会社も含めて、男性育休が本当に取れる会社かの見極め方を知っておくと、家庭全体の見通しが立ちます。

妊娠判明から勤続1年を経て育休取得に至るまでの時系列を表した図

まとめ:焦らず、制度を味方につける

妊娠中の転職活動は、できます。法律はあなたを差別から守り、産休はどんな働き方でも取れる。ここは安心していい部分です。

注意がいるのは育休のほう。入社1年未満を対象外とする労使協定があれば、転職直後は取りにくい。けれど勤続1年に到達してから申し出れば取れる道もあり、判断時点は「申し出た時点」です。給付金には加入期間の条件があることも、頭に入れておきたい。

体と相談しながら、無理のないペースで。制度を正しく知っておけば、妊娠は転職をあきらめる理由にはなりません。むしろ、これから長く働ける環境を選び直すいい機会にもなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 妊娠中でも転職活動をしていいのですか?
問題ありません。妊娠を理由に採用で不利に扱うことは男女雇用機会均等法で禁じられています。応募も面接も自由に受けられます。ただし入社後すぐ産休に入る見通しがある場合は、相手の事情も踏まえて進め方を考えると良いでしょう。

Q2. 面接で妊娠していることを伝える義務はありますか?
法律上、自分から申告する義務はありません。聞かれても答えたくなければ断れます。一方で、長く働きたい会社なら選考が進んだ段階で誠実に伝え、復帰の意思もあわせて示すほうが信頼関係を築きやすいです。

Q3. 入社してすぐでも産休は取れますか?
取れます。産前産後休業は労働基準法に基づく権利で、勤続年数や雇用形態に関係なく取得できます。出産予定日の6週間前から産前休業、出産翌日から8週間は産後休業の対象です。

Q4. 転職して1年たたないと育休は取れないのですか?
正社員などの無期雇用なら原則1年未満でも取得できますが、会社が「入社1年未満は対象外」とする労使協定を結んでいると拒否されることがあります。判断は申し出た時点の勤続年数で行うため、1年経過後に申し出れば取れる場合があります。

Q5. 転職直後でも育児休業給付金はもらえますか?
受給には休業開始前の一定期間、雇用保険に加入していたことが必要です。転職直後は条件を満たせないことがありますが、前職の加入期間が通算される場合もあります。事前にハローワークで確認しておくと確実です。