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AIエンジニアの需要が急増中|未経験から目指せるのか

AIエンジニアの需要が急増中|未経験から目指せるのか

「AIエンジニア」という肩書きが、いま一番の人気職になっている

ChatGPTが世に出てから、転職市場の空気は明らかに変わりました。「将来性のある仕事に移りたい」という相談の半分近くで、AIエンジニアという言葉が出てきます。給料が高そう、これから伸びそう、なんだか格好いい。動機としては自然です。

ただ、この肩書きは少しやっかいで、人によって思い浮かべる中身がバラバラです。機械学習モデルをゼロから設計する人もいれば、既存のAPIを組み合わせて業務アプリに仕立てる人もいる。データ基盤を整える人も含めて、ざっくり「AIエンジニア」と呼ばれている。だから「目指せますか」という問いには、どの仕事を指すかで答えが変わります。

ここでは需要と年収の実像を公的データで押さえたうえで、未経験から本当に届くのか、何年かかるのかを、盛らずに書いていきます。期待をあおる記事は多いので、せめてここは現実から始めます。

需要が伸びているのは、生成AIと人材不足が重なったから

需要が伸びている、という話は感覚ではなくデータで裏が取れます。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」(2019年)では、IT人材は2030年に最大で約79万人不足すると試算されました。とりわけAIやビッグデータを扱う先端IT人材の不足が大きいと指摘されています。そこへ生成AIの実用化が重なり、これまでAIに縁のなかった業界までが「自社の業務にどう組み込むか」を本気で考え始めた。需要の裾野が一気に広がったわけです。

求人サイトの体感でも、AI関連の募集は数年前と比べて目に見えて増えています。特にLLMを使ったアプリ開発や、機械学習の運用を支えるMLOpsの領域は、人材の供給が需要に追いついていません。需要が高く供給が少ない領域ほど待遇が上がるのは市場の常で、AIエンジニアの単価が高止まりしているのもこのためです。この流れは一過性のブームというより、構造的な人手不足に支えられています。

未経験から経験を積むほど段階的に年収が上がっていく階段状のイメージ図

年収のリアル:高いが、入口は控えめ

年収の話は、平均値だけ見ると誤解しやすいので分けて見ます。

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」では、AIエンジニアの平均年収は約558万円とされています。doda調査による日本全体の平均年収が420万円台であることを思えば、100万円以上高い水準です。フリーランスや外資系、専門性の高いポジションでは1,000万円を超える例も珍しくありません。

ただ、未経験スタートの初年度はここまで届きません。各社の求人を見ると、未経験〜1年目はおおむね350万〜500万円のポテンシャル採用が中心です。そこから実務1〜3年で500万〜700万円、3〜5年のシニア層で700万〜1,000万円と、経験を積むほど伸びていく形になります。つまり、入口の数字に落胆する必要はないけれど、「最初から高給」を期待すると肩透かしを食う。年収は経験とともに後からついてくる職種だと理解しておくのが健全です。具体的な上げ方の戦略はITエンジニアが年収を上げる転職の進め方も参考になります。

未経験から目指せるのか、正直なところ

ここが本題です。結論をぼかさずに言うと、目指せます。ただし「未経験でもすぐなれる」という宣伝文句は、そのまま受け取らない方がいい。

機械学習モデルを扱う以上、避けて通れない土台があります。Pythonでのプログラミングはもちろん、線形代数・微分積分・統計といった数学の基礎、そして機械学習のアルゴリズムの理解です。これらを飛ばして「ライブラリを呼び出すだけ」で進めると、モデルがうまくいかないときに原因を切り分けられず、すぐ頭打ちになります。逆に言えば、この基礎さえ固めれば、文系出身でも独学でたどり着いている人は実際にいます。

学習期間の目安は、本業を続けながらで半年から1年ほど。Python、機械学習の基礎、ディープラーニング、生成AIと段階を踏むと、無理がありません。費用面では、厚生労働省の教育訓練給付金制度の対象講座を選べば受講料の一部が戻る場合があるので、使えるものは使うとよい。なお、AIエンジニアとデータサイエンティストは隣接していて求められる素養も重なります。データ分析寄りに進みたい人はデータサイエンティストになるためのロードマップも読み比べておくと、自分の適性が見えてきます。

遠回りに見えて、いちばん早い進み方

完全な未経験から、いきなりAIエンジニアの求人に応募して受かる例は多くありません。多くの人が通るのは、一度ITエンジニアとして実務に入り、そこからAI領域へずらしていくルートです。

まずはWebやアプリの開発、あるいはデータ分析の現場でPythonと実務の作法を身につける。コードレビューやチーム開発を経験しておくと、後でAIの仕事に移ったときに技術以外の部分でつまずきません。土台づくりの順番に迷うなら未経験からITエンジニアになるロードマップが道筋を示してくれます。

並行して、学んだことを形に残します。Kaggleのようなコンペに参加する、業務で触れているデータでモデルを作って公開する、といった実績が効きます。とりわけ強いのが、前職の業界知識とAIを掛け合わせたものです。「在庫データから需要を予測するモデルを作った」のように、ドメインの理解とAIの実装が同居していると、それだけで他の未経験者と差がつく。作品をどう見せるかはエンジニアのポートフォリオの作り方が具体的です。働く環境にこだわるなら、裁量の大きい自社開発企業への転職が人気の理由と受かる準備も選択肢に入れておくと、AIスキルを活かせる場が広がります。

プログラミング・数学統計・機械学習・生成AIへと進む未経験からの学習ステップを示した図

まとめ:ブームではなく、長く食える専門性として

AIエンジニアの需要は、流行り言葉ではなく人材不足という構造に支えられています。年収も高水準で、伸びしろは大きい。

ただし未経験からの道は、数学と機械学習の基礎という地味な階段を上る必要があり、半年から1年は腰を据える覚悟がいります。最初の年収も控えめからの出発です。それでも、業界知識と掛け合わせて自分だけの強みを作れれば、長く食える専門性になります。華やかさに惹かれて飛び込むより、土台から積む人が、結局いちばん遠くまで行きます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 未経験から本当にAIエンジニアになれますか?
なれます。ただしPythonと数学(線形代数・統計など)、機械学習の基礎を固める前提です。これらを飛ばすと早い段階で行き詰まります。基礎さえ押さえれば、文系出身で独学からたどり着いた人も実際にいます。

Q2. 学習にはどのくらいの期間がかかりますか?
働きながらで半年から1年が目安です。Python、機械学習の基礎、ディープラーニング、生成AIと段階的に進めると無理がありません。焦って範囲を広げすぎず、土台から順に固めるのが結局は近道です。

Q3. AIエンジニアの年収はどのくらいですか?
厚生労働省のjobtagでは平均約558万円で、日本全体の平均より100万円以上高い水準です。ただし未経験初年度は350万〜500万円程度が中心で、経験を積むにつれて伸びていく職種だと考えてください。

Q4. 数学が苦手でも目指せますか?
ある程度は補えますが、線形代数・微分・統計の基礎は避けて通りにくい分野です。モデルが期待通り動かないときに原因を切り分けるには数学の理解が効きます。完璧でなくてよいので、基礎レベルは身につけておくと後が楽になります。

Q5. いきなりAIエンジニアの求人に応募しても大丈夫ですか?
おすすめしません。多くの人はまずITエンジニアやデータ分析の実務に入り、そこからAI領域へ移ります。実務経験とポートフォリオを揃えてから応募する方が、結果的に早く到達できます。