結論:みなし残業は「使い方次第」。損も得もある制度
「みなし残業ありの求人は危ない」という声をよく聞きます。でも実際は、損か得かは一概に言えません。
みなし残業(固定残業代)は、毎月一定時間分の残業代をあらかじめ給料に含めて払う仕組みです。だから、その時間より少なく働けば「働いていない残業代までもらえる」ことになり、得をします。逆に、その時間を超えて働いても追加が払われない運用なら、損をします。
つまり問題は制度そのものではなく、求人票の見方と会社の運用です。この記事で、損をしない見極め方を押さえましょう。
みなし残業(固定残業代)とは何か
みなし残業とは、「毎月◯時間分の残業をしたとみなして、その分の残業代を固定で支給する」制度です。
たとえば「月給28万円(固定残業代45時間分・7万円を含む)」という求人なら、基本給は21万円で、残り7万円が45時間分の残業代として最初から含まれています。
ここで大事なのは、固定残業代を含む金額が「月給」や「年収」として表示されることです。つまり、求人票の年収が高く見えても、その中に残業代が織り込まれているケースがあるということ。額面の数字だけで判断すると、実態を見誤ります。
損をするのはこんなケース
みなし残業で損をするのは、主に次のような場合です。
- 含まれる残業時間が多すぎる:「45時間」「60時間」など長時間が前提だと、それだけ働くことが想定されている。
- 超過分が払われない:固定時間を超えて働いても、追加の残業代が出ない(これは違法)。
- 基本給が低く見える:固定残業代を抜くと、基本給が想像より低い。
特に怖いのが、固定残業代によって「長時間労働が当たり前」になっているケースです。残業代が出ない会社で働き続けると生涯でどれだけ損をするかは残業代が出ない会社で働き続けるとどれだけ損するか試算してみたで試算しています。

実は得をするケースもある
一方で、みなし残業が有利に働くこともあります。
最大のメリットは、残業が少なくても固定分が必ずもらえることです。たとえば「45時間分」が含まれているのに、実際の残業が月10時間で済めば、働いていない35時間分の残業代も受け取れる計算になります。
業務効率がよく、定時で帰れる職場なら、みなし残業はむしろお得な制度です。「早く終わらせても給料が変わらない」ではなく、「早く終わらせても固定分はもらえる」と考えれば、見え方が変わります。要は、運用と働き方次第なのです。
求人票でチェックすべき3つのポイント
みなし残業ありの求人を見るときは、次の3つを必ず確認しましょう。
- 固定残業代を抜いた「基本給」はいくらか:年収÷12から固定分を引いて、実質の基本給を出す。
- 何時間分が含まれているか:20時間程度なら良心的、45時間以上は要注意。
- 超過分は別途支給されるか:求人票に「超過分は別途支給」と明記されているか。
この3点が確認できれば、見かけの年収に惑わされません。手取りベースで実額を考えるなら手取り30万円の額面はいくら?年収別の手取り早見表も合わせてどうぞ。

超過分が払われないのは違法
ここは誤解されがちなので、はっきり書いておきます。
みなし残業は「固定時間分を先払いする」制度であって、「それ以上は払わなくていい」制度ではありません。固定残業時間を超えて働いた分は、別途、超過分の残業代を支払う義務が会社にあります。
「うちはみなし残業だから残業代は出ない」という説明は誤りで、超過分の不払いは違法です。もし固定時間を大きく超えて働いているのに一切追加が出ないなら、それはブラックな運用のサイン。残業時間の記録は自分でも残しておきましょう。
まとめ:「年収の額」より「内訳」を見る
みなし残業は、それ自体が悪い制度ではありません。定時で帰れる職場なら得をするし、長時間前提で運用されれば損をする。分かれ目は、含まれる時間数と会社の運用です。
求人票を見るときは、表示された年収を鵜呑みにせず、固定残業代を抜いた基本給・含まれる時間・超過分の扱いの3点を確認する。これだけで、入社後の「思っていたのと違う」を大きく減らせます。
年収は「総額」ではなく「内訳」で判断する。みなし残業は、その基本を試される典型例です。
よくある質問(FAQ)
Q1. みなし残業は結局、損なのですか?
一概には言えません。固定時間より少なく働けば得をし、超えて働いても追加が出ない運用なら損をします。含まれる時間数と会社の運用次第です。
Q2. みなし残業だと残業代は一切出ないのですか?
いいえ。固定残業時間を超えた分は、別途残業代を支払う義務が会社にあります。「みなし残業だから超過分は出ない」という説明は違法です。
Q3. 何時間分のみなし残業なら注意すべきですか?
目安として20時間程度なら良心的、45時間以上が含まれている場合は長時間労働が前提になっている可能性が高く、注意が必要です。
Q4. 求人票で何を確認すればいいですか?
固定残業代を抜いた基本給、含まれる残業時間数、超過分が別途支給されるかの3点です。これで見かけの年収に惑わされなくなります。
Q5. 固定時間を超えて働いているのに追加が出ません。
違法な運用の可能性が高いです。残業時間の記録を自分でも残し、労働基準監督署や専門家への相談を検討しましょう。